母は写真が嫌いで、撮るのも撮られるのも嫌がる為、

第一子の私は、母との幼き頃の写真は数える程しかない。
 

その点、父は写真が大好きだった。

したがって、弟や弟が生まれるまでは、私の写真は単体で、

また全てといっていいほどふくれっつらをしている。

母の教えが、どんな時でも歯をくいしばれ。泣くな！
という古きおしんがバイブルの教育だった為、
物心ついても幼稚園、小学校でも私の写真は

全て歯を食いしばるような睨んだ写真ばかりだった…。
 

3年前父が他界し、突然死だったので、

バイバイもできずにお別れの儀式をした。
遺品整理をした父の財布からでてきたのは

私の幼い頃の写真…
それも写真の私は楽しそうな顔をしてるのだ…。
 

歳とってからの父は１０歳下の妹を溺愛し、
中学で親元を離れた私は、父と疎遠の時間が長かった。

葬儀でも納棺でもあまり泣かないでいれたのに、
財布に入った自分の写真を見た途端に泣いてしまった。

お父さんは、どんな時、いつこの写真を見ていたのだろうか？
 

その後私は、音楽好きな父の夢でもある歌手になったが、

父はあまり嬉しそうではなかった。
ところが、しばらくして実家に帰ると

私が出演する番組の全てを

一つのビデオテープに編集していたのだ。
口数が少ない父だったから、
私に対する感情表現ができなかっただけなのかもしれない…。


去年デビューして20年が経ち、Cooとして産まれて成人した。
私は、自分の子供のようにこの歴史を振り返り、

お父さんのように写真からその当時にタイムトリップする空間を作りたい…
それを観にきた方とぜひ共有したいと
思いだした。
 

これが、写真展に繋がるエピソード。
扉が開くのは8月25日…。